2014/1/30
「山崎大地の夢と挑戦」(「中村俊一の教育BOX」放送内容 ゲスト:山崎大地さん)
2014年1月21日(火)「中村俊一の教育BOX」の放送内容です。ただし、放送内容そのままではありません。今夜はゲストをお迎えしています。

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今夜はゲストに国際宇宙サービス代表の山崎大地(やまざき たいち)さんにお越しいただいています。よろしくお願いいたします。

さて、大地さん、いよいよ民間人宇宙飛行士としてバージン・ギャラクティック社の宇宙船で宇宙旅行をするという夢が叶うのですね。


山崎大地さん曰く、(以下「   」内は山崎さん)

「そうなんですよ。いよいよ今年から、民間の宇宙船が宇宙に飛び立っていくんです。世界中でたくさんの宇宙旅行者がその時を待っている状態です。」


宇宙旅行が民間の時代になってきているんですね。


「そうですね。これまでは国家事業として、どこの国も税金を使って宇宙開発をしてきたんですけれども、今の時代はその技術がどんどん民営化されて、いよいよ一般の人たちが宇宙に飛び立っていける時代になりつつありますね。」


大地さんが搭乗するバージン・ギャラクティック社の宇宙船ってどんなのですか?


「開発はアメリカのスケールドコンポジット社という会社がやってます。その会社に、英国のリチャード・ブランソン会長が率いるバージングループのバージンギャラクティック社が投資をして、8人乗りの宇宙船を作って、たくさんの人を宇宙に連れていくことを思い描いてやっているんです。」

「バージングループは、レコード会社、電車会社、飛行機会社、いろんな会社を経営していて、その延長線上の最後に、宇宙旅行の会社というふうに進んでいる大きな会社です。そこだけではなく、今世界では、エックスコア社、スペースエックス社、ビゲロー・エアロスペース社などいろんな会社が、宇宙船、宇宙ホテル、ロケットなどをどんどん作ってるという流れが起こってきているのです。」


なぜ、バージン・ギャラクティック社の宇宙飛行士になられたのですか。


「もともと僕は小さな頃から宇宙に行きたいと思ってきたんです。そして、どうやったら宇宙に行けるのかとずっと考えていました。今日本では、宇宙飛行士に選ばれて、たくさん訓練をして、やっとの思いで宇宙に行くという考え方が常識だと思うんです。」

「でも、世界では、その考えは10年・20年前の話なんです。今はお金を払えば、旅行で宇宙に行ける時代になって来ているんです。それだったら、僕も宇宙に行けるんだろうな。ただ、お金がかかるんですね。今まだ、高いんです。(現在、約2500万円)」

「であれば、自分でお金を払うのはむずかしいけれど、仕事として行ってしまえば、自分でお金を払わなくても、お客さんをサポートするとか、いろんなサービスをするということで、宇宙に行けるんじゃないかなと考えました。」

「そして、そういう会社を立ち上げたら、宇宙に行きたいお客さまはたくさんいて、いろいろな要望が出てきて、ぜひ一緒に宇宙に行こう!という形で実際に仕事になってしまったんですね。」


そうやって夢を叶えてきたんですね。大地さんはいろんな夢を今まで叶えてこられたそうですね。


「そうですね。みなさん、夢って、一つの夢を追い続けるという方が多いと思うんです。僕は、欲深いのか、いろんな夢をたくさん叶えたいという人なんですね。最初に、大きな夢に挑戦したのは、大学受験の時だったんですけど、小さいときから宇宙が好きで、その道に進みたくて、NASAで働きたいとずっと高校で思っていたんですね。」

「中学生の時に、NASAの宇宙船や宇宙開発をアメリカで目の当たりにして、すごく感動して、いつかNASAに行きたいなと思ってたんですけど、僕の通っていた高校というのはNASAで働けるような学力のあるところじゃなくて、先生から最初からそれは無理だって言われてたんです。」

「でも、それは自分の夢なので、無理だと言われてもどうしてもそれを叶えたいと思ってました。高校を卒業して、大学受験のときに、宇宙の勉強ができる大学は、当時、日本に3校しかなかったんです。そこで、受験してみたら50倍の高倍率で、とても歯が立たなくて、そこで落ちたときに諦めきれずに、もう一度挑戦して、2年目もだめだった。それでも諦めきれなくて、もう1年がんばってやっと3年目で勝ち取ったというところから、宇宙の道が本格的に進み始めたんですね。」

「大学を卒業するときに、宇宙の仕事をNASAでどうやって働けばいいんだろうと考えているときに、『アポロ13』という映画を見たんです。その映画の中で、宇宙飛行士が月に行くときに事故が起こってしまって、彼らを救出するときに地上の管制官たちが活躍するんです。それを見て、自分も宇宙船の管制官の仕事に就きたいという大きな目標が具体的になってきたんです。」

「でも、すぐに宇宙船の管制官になれるかというと、なれるわけがないですね。それでどうしたらいいか、一生懸命調べて、いろんな人に聞いてまわって情報を集めて、挑戦して、それで運よく、国際宇宙ステーションの運用管制官の仕事にまでたどり着くことができたんです。」

「勉強や仕事の面では夢は叶ってきたんですけれど、その他にもいろんな夢を叶えたい。その一つに、ライフスタイルというのもありました。家に住むのに日本だと普通に家を建てて住むじゃないですか。僕はアメリカで生活していたことがあったんですけど、どうしてもアメリカでしかできない生活をしてみたいなと思い、家じゃなくて船に住みたかったんですね。」


日本人は、そんな発想はないですよね。


「日本ではできないこと、アメリカならでわで、何か面白い生活、ライフスタイルは何かなと探したら、いろいろ調べてみると、マリーナでクルーザーとか船で生活している人がいて、すごく優雅な生活をしているのを見たんです。」


かっこいいですよね。


「かっこよくて、さわやかで、そんな生活ができればいいなと思ってて、それも時間がかかって準備が大変だったのですけれど、なんとか実現できました。思い描いたら、それに向けて、叶うまでずっと突っ走っていくという感じでいつもやってますね。」


なるほど。面白いですよね。いろんな夢を叶えていくんですから。大地さんは夢を一杯もっていらっしゃいます。わくわくしながら、毎日仕事をされているように思うんです。少年のように目をキラキラさせています。実際にいくつも夢を実現してこられた。そこで、来週は、その夢の実現の仕方について詳しくうかがいたいと思います。


今夜はゲストに国際宇宙サービス代表の山崎大地さんにお越しいただきました。山崎大地さん、ありがとうございました。

次週は「山崎大地流夢のかなえ方」です。お楽しみに。




2014/1/29
「世界の 教育と雇用の関係」(「中村俊一の教育BOX」放送内容)
2014年1月14日(火)「中村俊一の教育BOX」の放送内容です。ただし、放送内容そのままではありません。

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今夜は世界の教育と雇用の関係についてお話をします。先週、日本の学力について、OECD(経済協力開発機構)の発表した資料に基づいてお話しましたが、今週もOECDの「図表でみる教育2013年版」を参考にしながらお話します。

OECD加盟34カ国と、アルゼンチン、ブラジル、中国、インド、インドネシア、ロシア、サウジアラビア、南アフリカの教育制度を分析しています。

その報告によると、2008年のリーマンショック以降2011年にかけて世界の失業率が急激に上昇し、それ以降も高止まりしています。その影響をいちばん受けているのが若年層なんです。

OECD諸国の平均で、2011年学校も行かず、就職もせず、また、職業訓練も受けていない、いわゆるニートの比率は、15歳〜29歳人口では16%、25歳〜29歳人口では20%だったとされています。25歳〜29歳のニート比率が3人に1人以上の国もあるようです。

世界に比べると、日本は若者の失業者は少ないように思いますが、どうなんでしょうか。

2013年版「子ども・若者白書」によると、15歳〜34歳の職に就かず学校にも行っていないニートの数は過去最高の63万人に達したとされています。しかし、その人口比率は2.3%なんですね。世界と比べるとケタが違いますよね。

ただし、25歳〜34歳の雇用者に占める非正規雇用の割合は26.5%と過去最多ですから、若者の4人に一人は正社員になれない時代です。世界に比べればましですが、それでも日本の若者には厳しい時代ですね。

OECDは、学歴と雇用の関係についても発表しています。やはり、学歴が雇用に大きく影響すると分析されています。

たとえば、2011年の世界の失業率は、高等教育修了者(高校より上の学校、短大や専門学校や大学を卒業した者)の失業率が4.8%だったのに対して、中等教育の未修了者(高校を卒業していない者の失業率は12.6%だったそうです。ですから、就職のことを考えると、やはり世界中で学歴が重んじられる傾向は変わりないのかもしれません。

学歴重視の社会は日本だけではなく、世界共通ということになりますね。次に、教育と収入の関係はどうなっているかも報告されています。

世界の大学卒業者と高校卒業者の成人を比較して、雇用から得られる所得を比べてみると、1.5倍以上の差があるとされています。さらに、高校卒業者と中学卒業者の成人の雇用における収入差は、中学卒業者の方が25%少ないとされています。

データですから、そういう傾向があるということですので、みんながみんなというわけではありません。学歴がなくても成功している方はたくさんいますから、あくまでOECD諸国の傾向です。

リーマンショック以降は、OECD諸国の平均で、低学歴者と高学歴者の平均的な雇用における収入差は、2008年の75%から、2011年には90%へと拡大したとなっています。つまり、分かりやすく言えば低学歴者と高学歴者の収入差は、現在ほぼ倍ほどあるということですね。

世界中で、学歴による収入の格差がこれだけはっきりすると、やはり、勉強は大切だということになりますね。

ですから、OECD諸国の15歳〜19歳人口の教育機関の在籍率は84%、つまり高校レベルの教育を受けている比率が84%とかなり高いことが分かります。ちなみに、日本の高校進学率は97%を超えています。

ところが、高校からさらに上の高等教育機関、先程も言いましたが日本で言えば、短大、大学、専門学校ですね。OECD諸国全体で、25歳〜34歳人口の高等教育機関の修了率は39%とかなり低くなります。日本の昨年の高等教育機関への進学率は70%でした。大学だけの進学率では47.4%です。

ちなみに、2010年の大学進学率ですが、1位はオーストラリアの96%、2位がアイスランドの93%、3位がポルトガルの89%、お隣の韓国が71%、日本は2010年で51%でしかありませんでした。当時のOECDの平均進学率が62%ですから、日本の大学進学率は先進国で高い方ではないのです。

しかし先週、OECDによる世界の成人力調査によると日本の成人の学力1位でしたから、日本の高校までの学校教育はしっかりしている証拠とも言えますね。さらにその上に、企業による社員教育も充実していると分析されていましたから、日本の教育力は高く、それが世界第3位の経済力を支えているのです。

それで最後に、日本では大学の理系出身の方が文系出身よりも所得が高くなっていると、京大経済研究所等の研究グループの研究がありますからご紹介しましょう。

その研究によると、大卒の理系出身者の平均所得は637万円、文系出身者は510万円で、理系は文系より127万円高いという結果でした。さらに、文系・理系問わず、数学の学習をちゃんとしてきた者は、所得を高める効果があるとされています。

現代社会は、やはり科学技術によって発達してきた社会ですから、科学的な思考力や数学的思考力が、大切になるのは仕方がありません。だから、あまり早い段階で、理数科目を捨ててしまうことはよくありませんよ。

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今夜はOECDの発表した資料をもとに、世界の教育と雇用の関係をお話ししました。やはり、学歴と雇用や、学歴と収入とは相関関係にあり、学歴が高いほど、就職できる可能性や所得が高くなる可能性があるということでした。そのことは、全世界であてはまるようですね。




2014/1/28
「医は仁術」(「中村俊一の教育BOX 新春スペシャル 彿送内容 ゲスト:三嶋理晃さん)
2014年1月11日(土)「中村俊一の教育BOX 新春スペシャル 1回目」の放送内容です。アップがとても遅くなり、すみませんでした。スラバヤから帰国してから、物理的にゆっくりする時間がとれませんでした。今回は長文になりますので悪しからず。いつものように放送内容そのままではありません。

インドネシア・スラバヤの立志館ゼミナールについて、1月6日(月)朝日新聞の朝刊1面、1月25日(土)の読売新聞の夕刊に取り上げていただきました。また、1月24日(金)には、KBC(九州朝日放送ラジオ)の武内裕之のThat's on timeに電話でゲスト出演しました。インドネシア進出についてお話をしました。

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中村俊一の教育BOX 新春スペシャル 第一回の今夜は、ゲストに、京都大学理事・副学長・医学部附属病院長、専門は呼吸器内科で教授もされている三嶋理晃(みしまみちあき)先生にお越しいただいています。

三嶋先生には、昨年の12月にもゲストにお越しいただきました。何度もありがとうございます。今夜は三嶋先生の医者としての生きざま、あるいは人生観にスポットを当ててうかがいたいと思います。

その前に、まず京都大学、および京都大学附属病院ですけれども、この特長を教えてください。


三嶋理晃先生曰く、(以下「    」内は三嶋先生)

「はい。まず京都大学のことを簡単にご紹介したいと思います。私は、京都大学は世界屈指の大学だと思っていて、大変好きです。京都大学というのは、例えば、ノーベル賞受賞者をたくさん、山中先生を初めたくさん排出していることはもちろんですし、フィールズ賞という数学のノーベル賞をとっておられる方も2人おられます。たくさんの学問分野で、世界的な賞を受賞された方がおられるということも事実ですね。」

「それ以上に、フィールドワークと言われる領域がありまして、大学の外側に出て行って、長い時間をかけていろんなところを見たり、大学の近いところに動物を飼ったりして、研究するという分野があります。」

「例えば、有名な霊長類研究所の松沢先生はチンパンジー、天才チンパンジーのアイちゃんに、数字を数えることができるという非常に有名な新しい学問を編み出してきました。ゴリラの研究で、これも世界の第一人者で理学部の山極(やまぎわ)先生という方がおられます。」

「京都大学は長い歴史の中で、普通の大学というのは、経営状態が悪くなったりすると非常に長いスパンの成果がいつでるかわからないところを切っていくというのが通常なんですけれども、京都大学は、戦前の非常に困難な時も、そこをちゃんと守り続けてきたというのが今の成果に出ていると思うんです。」

「ご存じだと思いますけれども、最近、京都大学の数理研究所の望月先生が、ABC理論という数学の大革命になる理論を出しました。検証だけで5年かかるということなんですけれども、彼はこの10年間、ひとつの論文も出さないで籠っておられました。それでも、京都大学は何も文句は言わなかったんです。」


懐が広いですね。


「そう思います。京都は千年の都で、千年間も都だったわけですけれども、今でも都は京都だと思ってますけれども(笑)、たまたま今は、仮に天皇陛下はあちらに行かれているだけだと思っているのですが(笑)、それは冗談ですけれども、歴史が、長い歴史がそういう寛容な風土を生み出しているんじゃないかと思います。京都大学はそういう風土のところですから、ぜひ学生さんにも選んできていただきたいと思っています。」


すぐに結論が出ることじゃなくて、じっくりと基礎分野を研究していくというんですか、広く後世に役立つことをじっくり学んでいける環境にあるということですね。素晴らしいですね。じゃあ、医学部附属病院の方はどうでしょうか。


「京大医学部附属病院は、1898年にできまして、115歳くらいですね。それで創立当時はですね、診療科が内科を含め7つしかなかったんです。100年以上たった今は、診療科が34科、職員が3000人ですね。ベッド数1121床のすごく大きな病院に成長しております。」

「非常に職員の皆さんは頑張っておられて、例えばiPS。山中先生はiPSでノーベル賞をとられましたけれども、iPS研究所というのは、病院のすぐそばにありまして、一昨年にいち早く、病院の中にiPS細胞医療開発部というのを作られたんです。」

「日本で初めて、おそらく世界でも珍しいと思いますけれども、カルテを作って、患者さんとか、健常の方のIPS細胞をいただいて、それでいわゆる臨床医療を目指すということで、そういうシステムを作って、二年ぐらい先には、パーキンソン病とか、血液の病気の臨床治験を開始するつもりで、今着々とやっております。」

「それからですね、もうひとつは最新の医療機器をたくさん備えておりまして。たとえばダヴィンチという。」


ダヴィンチ?


「いわゆるロボット手術ですね。それから、手術室の中にCTなんかを持ち込んで、手術しながらCT写真を撮って、手術でどこどこをとれたかをCTで撮って確認してまた手術するという、モニターをしながらやるという、そういうすぐれた施設を今どんどん作っておりまして、いろいろな病気に対応できるようにしています。」

「また、京都大学の移植は、特に肝臓移植は世界で累積第一位だということで、非常によく頑張っておられます。」

「最近京都大学全体、政府が大学の国際化という話で、グローバル化を非常に推奨しておられるんですが、それに呼応して、京都大学も国際医療を推進しようということでブータンに、医師2人と看護師2人を半年間派遣します。途中で交代はしますが、派遣することにしました。」

「ご存じだと思いますけれども、ブータンというのはGNHですね、Gross National Happiness(国民総幸福量)というのが世界で一番だということで、幸せ度一番の国だということです。私は、この医療派遣のことで向こうに打ち合わせに行きましたけれども、本当に素晴らしい国です。子どもさんたちが非常にいい顔をしておられる。」

「ただ医療がまだまだなんで、そこに医療スタッフを送ってお手伝いをさせていただくということなんですけれども、この企画というのは、もともとequally contributionと言いまして、それぞれ互恵関係で、一方的じゃないというのがミソです。」

「私たちは医療スタッフを送る代わりに、その若い技術スタッフが向こうで非常にいろいろな経験をして国際人として育てていただく、今日本で急速に失われている人間の幸せに対する考えを吸収する。ブータンというのは日本の40年ぐらい前の日本と同じような精神文化が残っておるんです。日本で失われているそういう文化を吸収して、何が幸せかということをもう一度考えていただくことが大事だと思います。」

「向こうの寺院に行ってびっくりしたんですけれども、若い子どもたちが、全然知らないお年寄りたちに、いろんなスープやらを配って、食べていただいているんですよ。敬老という日本では非常に失われけかけている理念を、ちゃんと学んでもらえるんじゃないかということで、京大もいろんな試みをしているわけです。」

「私は大きな組織というのは、発展させようと思ったらそれぞれの構成員がその組織を好きになるというのが大事だと思うんです。いろんな職種の方々がみなさん、京大病院を好きになっていただいていると思います。素晴らしいスタッフがおりますし、今後、みんなで力を合わせて京都大学の京大病院を発展させていきたいと思っています。」


独立行政法人化になりますと、単体で黒字を出さないといけないですもんね。


「黒字が出るようになりました。」


おめでとうございます。


「3年ぐらい前から、ずいぶん企業努力もしまして、無駄を排除して、しかも、あんまり無駄を排除しずきると、いい医療スタッフが疲れますので、その辺ちゃんと医療スタッフを補助する人も増やして、なおかつ採算を非常によくして、今黒字になっております。」


なるほど。先生、やっぱり病院長としては、みなさんをまとめていかないといけませんよね。そういうところで特に気を付けられている点とかありますか?


「私のもとに副病院長が5人おられます。それぞれに、私が病院長になった二年半前に、非常に慎重に選んで、全員教授なんです。それぞれの先生方に、ある程度部署をお任せしてやっていただきます。ただ、週に一回、火曜日の夕方に2時間ほどかけて、執行部と言いますけれども、ものすごくホットなディスカッションをしていろんなことを相談しております。」

「それで、病院協議会というのがありまして、そこで全員集まっていただいて、診療部長なんかも集まっていただいて、徹底していろんなことを話し合います。病院長や執行部は上から目線だとやっぱりあかんと思いますので、同じような目線で一緒に考えていくということで、それぞれが相互理解を得られているのではないかと思います。それが一番大事ではないかと思いますね。」


京大病院が好きな方々が、それぞれの部署で一生懸命になりながら、しかしながらいろんな意見がある、それを喧々諤々話し合いながら、先生がまとめていかれて、黒字化していると、素晴らしいですね。


「私がまとめるというか、みんながまとめてくれるんですけどね(笑)。ぼーっとしているので(笑)割と、副院長とか、みんなしっかりしておりまして、その辺はいろいろやってくれています。」


そしたらですね、ここでコマーシャルをはさみまして、後半戦は先生のお医者さんとしての人生観などをうかがいたいと思います。

後半は、三嶋先生の医者としての生きざまといいますか、倫理観と言いますか、人生観、こういうことをうかがいたいなと思うんですね。先生のご講演などもうかがいますと、先生の人生そのもの、先生の赤裸々なご家族のお話しとかされていらっしゃると思うんですけれども、まず、先生は学生結婚されたってうかがったんですが…。


「えっと、僕たちは天王寺高校3年生の同級生なんです。家内とは同級生で、高校3年生のころは同級生でしたけれど、あまり顔を知らなかったんです。それで、彼女は奈良の女子大にいったんです。大学一年の終わりにストがありまして、授業がないから暇やったんで、陸上部に、天王寺高校の陸上部に遊びにいったんです。彼女は卓球部のOBで、たまたま彼女も向こうの大学がストで、ばったり出会ってそれ以来なんですけれども。」


運命的ですね!しかし、学生結婚といいますか、大学院の頃ですか?


「いえ、あの、大学5年生です。」


大学5年生。医学部は6年間通いますからね。大学5年生のころに結婚されて。またどうして結婚まで?


「家内はすでに、日立造船に大学卒業して勤めておりました。それで同い年でしょう?そうすると僕が大学を卒業するまで待っていると、なかなか先だしということで。僕も兄貴に脅かされましてね。彼女が就職したらいっぱいしっかりした男性がおるし、とられてまうぞと(笑)。それでプロポーズしたんですけどもね。」


よくご両親は賛成されましたね。


「親同士が話をしてくれましてね。お互いの親がそれぞれ話をしてくれて、それで決まったんですけども。ただ自分たちで自立して、経済を自立せよということでですね。家内、日立造船に勤めていて、僕京都でしょう。向日町のあたりに家をもって、彼女は6時くらいに家を出て、勤めに行って7時過ぎに帰ってきて、僕は学校に行ってで、ヒモみたいなことしてました(笑)。」

「家内には本当に世話になりました。といいながらも、両親は陰でいろいろ支えてくれていたんですけれどもね。そういうことがあって、子どもが三人できて。」


なるほど。先生そしたら、6年で学校を卒業されて、医学部の、お医者さんの試験に合格されて、そこからまあ、旦那さんとして、まあ自立したということですね(笑)


「自立しました(笑)」


お子さんは3人いらっしゃるということなんですけれども、ちょっとあの、お聞きしにくいことなんですけれども、先生の講演会なんかでもよくおっしゃってますのでね。3人目のお子さまが障害を持って生まれてこられたということなんですけれども、そこは人生観が大きく変わるポイントであったとお話をされていますね。


「そうですね。僕は、例えば大学の入試に落ちたり、細かい挫折はありましたけれども、基本的に別に大したことはなかったんです。上の二人も健康だったし、三人目も健康に生まれてくると思っていたんですけれども、病院から連絡かあって、ちょっとということで、水頭症だということなんです。早く手術しないともっと重くなりますよと。手術を、シャントをすすめられて愕然としましたね。本当にショックでした。」


シャントというのは何ですか?


「脳の水が、どんどん溜まっていくのでそれを外へ出すために、脳からおなかの方へチューブを入れるそういう手術なんです。本当に僕、どないしようかと黙っていたら、主治医の先生が、この子は手術しなくてもやっぱり今後ずっと長く生きるだろうし、ただ、非常に重症でかわいそうですよと言われました。」

「僕もそしたらということで、手術を承諾したんですけれども、実を言うと僕そのときに、これから重荷だなと思ったんですよ。どうしようかと思っていたんです。しかし、手術したりして一緒にしばらくいると非常にかわいくて、神様って、本当にかわいがってくれるところに、そういう子を与えると聞いて、僕。すいません、涙声で。」

「それで立ち直って、家内と一緒に、一緒にかわいがって育てようということで今まできたんですけども。おかげで僕自身も優しくなったと思いますし、上のふたりの子どもも非常に優しい子に育ってくれたと思います。」

「一人は東京で、今、コンピューターの会社で経営の部長みたいなんをやっていますけれど、孫もできました。下の子が長女ですけれども、小児外科をやっております。彼女は弟を見てというのが、かなりあったみたいです。」


心に影響を受けたのでしょうね。


「そうですね。小児外科で女性で頑張っております。女性の小児外科医ということであるテレビにですね、番組として出してもらったこともあるんです。」


一年間くらい追跡で収録されたんですよね。関テレでしたか。


「そういうことで彼女も、下の子が、そういう子だったので、それが非常に彼女にとってもいい意味でね、影響しているんじゃないかと思います。」


先生やっぱり人生っていうのは思ったとおりにはいかない。なんていうか挫折であるとか、あるいは思い悩むことがあると。そういうときに、どのように人生を引き受けていくのかという。これがどの人にとっても苦痛であると思うんですけれども、大切なことなんでしょう。先生どういう風な人生の転換といいますか、心の持ちようを決心されてといいますか、定まったんですか?


「やっぱりあれですね。山より大きな猪は出ん。若い方にはわかっていただきにくい言葉かもしれませんが、今起こっていること以上のことは、それ以上のことはもうおこらんだろうということで、これからはプラスの方向に向いていくだろうと、いつも思っているんですけれどもね。」

「僕は、人生の一番大事なことって、結果やないと思うんですよ。結果って、それぞれにめぐりあわせもあるし、私のこの立場もめぐりあわせでたまたまそうなっただけだと思ってるんです。何が大切かというと、毎日毎日、右肩上がりの人生を歩むと努力することだと思うんですよ。それが大切やと思うので、みなさん若い方々には、ぜひそれを考えていただきたいと思う。努力することは大切だと、一歩一歩。そういう風に思っております。」


なるほど。京大病院で医院長になられたということなんですけれども、そこまでにいろいろな、さまざまな人間関係のドラマであったりとか、難しいことはあったと思うんですけれども、先生なぜ先生が医学部の医院長になられたという、どういうところがポイントだったんでしょうね。


「いやまあ、それはちょっとわかりませんけれども。一番大きなことは、ひとつは医師になって一番初めに体験したことがあってね。それは、僕が大学卒業して、京大病院に勤めだしたころですけれども、ある肺の難しい病気の患者さんは、末期で、おしっこがでんようになったんですよ。まったくおしっこが出なくなって、血圧がどんどん下がってきたんです。」

「それで、今はある病院で医院長をされている先生なんですけども、私の上の先生に、尿はなんとかなりませんか、腹膜管理(透析)という方法があるんですね。おしっこが出なくても、腹膜管理である程度血液をきれいにすることができるんです。」

「それをやりたいんですけど、ということで指導してくださいと言ったら、その先生は、この患者さんは助からん。助からない人を、かえってそんなんするほうが失礼じゃないかとそんな風におっしゃるんですね。」

「僕は、それでも、とにかく救いたいんですと言ったんです。そしたらしばらく考えてわかったと。それでちゃんと治療してくださいました。毎日それからずっと泊まってたんです。子どももおりましたけれども、一週間ほど泊まって結局だめでした。」

「その時僕が思ったのは、あの上の先生、教授で先輩の先生は、絶対に無理だっていうことがわかってたんですが、僕にいくら頑張っても救えない患者さんもいるということを、知らせるために暖かく見守ってくれていたんだと思ったんですよ。」

「僕ね、だからこそ、救えない患者さんはいると。救える可能性、それはきっちり認識せんなあかんと。僕は、どんな方でも救える可能性があると思ってましたが、それはやっぱり医師としての傲慢さやと思ったんです。」

「医療に対しては謙虚であるべきだと、僕、その時につくづく思いました。逆に少しでも救える可能性のある方に関してはできるだけのことをする。少しでも救う可能性のある方には、救うような医療を開発することは本当に大事だと。そういう風に思って今まできています。」

「だから僕は何百人の患者さんを、僕は肺の方が多いのですが、癌で、何百人の患者さんを失っていますけれども、その代りたくさんの患者を救えているんじゃないかと思っています。そういう理念できました。」


みなさんに尊敬されているんですね。


「いや、尊敬されているかはわかりませんけど、京大っていう病院は割とそういうところを見てきっちり評価するところで。政治とか、そういうところとはまったく関係ない。院長戦っていったって、運動するとかえって具合悪いというか、マイナスになります。京大の教授室もそうですけれども。だから何もそういうことはしないんです。」


なるほど。権力闘争ではなくて、やっぱり人柄で選ばれていくということですね。


「おそらくそうだと思います。僕、別に人柄はたいしたことないですけれども。副院長の時代から、積貞棟(せきていとう)、任天堂の山内さんが建てられた寄附病棟です。75億くらいの浄財を寄付された素晴らしい方ですけれども、あの病棟が建った時に僕は副院長をやっていたんです。真冬に病棟を引っ越さないといけない。離れたビルディングから、積貞棟に人を運ばないといけない。大変でした。必死で朝から晩までやってたんです。まあ、そういうのんが朝から晩までやってたことで、認められたのかもしれませんね。」


今おっしゃってた京大病院は、平成22年の5月に八階建ての新病棟、積貞棟というのを建てたんですね。これは昨年9月に亡くなられた任天堂の山内溥さんのご寄付によるものだと。75億ってすごいことですよね。寄付されるってことはね。


「それも自分のお金ですよね。自分の貯金。素晴らしいことだと思います。積貞棟ができたおかげで、京大病院のステータスがずいぶん上がったと思います。そういう意味で山内さんは、京大にすごく貢献されたということで、この前名誉フェローという称号を8月に授与をさせていただきました。」


なるほど。今日は、京大病院の最先端をうかがうことができました。その病院長として活躍されている三嶋先生のお人柄がよくわかりましたね。障害をもって生まれてこられたお子さんは、先生は私の天使であるとおっしゃられます。

困難な状況を恨むというんじゃなくて、意味あることとして受け入れていく。だからこそ、懐が深くなってみんなに慕われていかれた。そして病院長までなられたのだと私は思います。とってもいいお話しをうかがうことができました。どうもありがとうございました。

新春スペシャル第一回の今夜は、ゲストに、京都大学理事・副学長・医学部附属病院長、専門は呼吸器内科で教授もされていらっしゃいます、三嶋理晃先生にお越しいただきました。三嶋先生、どうもありがとうございました。

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普段はベールに包まれている京都大学や京都大学医学部附属病院の一端を知ることができました。少し身近に感じられるようになりましたね。

京大病院長は、政治力学ではなく、人格で選ばれることが分かって、なんだか嬉しくなりますね。医は仁術であるを実践されている京大病院は素晴らしいと思います。

今後も日本をリードする医療を提供してくださることをお祈りいたします。




2014/1/7
「日本の学力」(「中村俊一の教育BOX」放送内容)
2014年1月7日(火)新年最初の「中村俊一の教育BOX」の放送内容です。ただし、放送そのままではありません。

1月6日(月)の朝日新聞の朝刊に、インドネシアのスラバヤで開校したPT RISSHIKANについての記事が掲載されました。教育2014「世界は 日本は」の特集の一部として取り上げられました。ありがたいですね。励みになります。

朝日デジタル:インドネシア http://www.asahi.com/topics/word/インドネシア.html

日本は超少子高齢社会を迎えつつあります。市場は縮小し、高齢者を支える労働人口は減少し、非常に憂慮される時代が目前です。親日国家が多い東南アジアの国々で、学力向上に貢献し、教育を通してより親密な関係を結べば、将来の日本にとって必ず役立つ時がくると思います。

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今夜は日本の学力についてお話をします。昨年、OECD(経済協力開発機構)が成人の学力と15歳の学力について国際比較した結果を発表しました。

まず、成人の学力調査の結果から見ましょう。OECDは、16歳〜65歳を対象に初めて実施した「国際成人力調査(PIAAC ピアック = Program for the International Assessment of Adult Competencies Survey of Adult Skills)」の結果を発表しました。

この成人力調査というのは、大人が社会生活をおくる上で必要な能力や学力を測るもので、基礎的な問題が中心です。その結果によると、なんと、日本は「読解力」と「数学的思考力」の平均得点が、参加した24の国と地域のうちトップでした。すごいでしょう。日本が両方とも1位というのは、とてもうれしいですね。

参加した国や地域は、欧米の先進国、それ以外の地域では、オーストラリアと日本と韓国でした。ちなみに、韓国は言語能力が12位、数学的思考力が15位でした。

文部科学省の分析では、「基礎を重視してきた戦後の日本教育に加えて、企業の人材育成の成果もでたのではないか」とされています。新入社員教育などは熱心に行っていますよね。学生気分を一掃して、社会性や責任感やサービス精神などを自覚させていくところは、すごいなと思います。

しかし、気になる点もあります。

年代別の比較によると、日本の中高年層の学力は他国を大きく上回るのですが、16歳〜25歳の若年層はその差が小さいのです。これは、ゆとり教育世代の学力低下の問題が、まだ尾を引いているのかもしれません。やはり、読み書き計算(そろばん)は小さい頃に徹底しておく必要があるように思います。

他ノ特徴は、読解力と数学的思考力に関して、下位層、つまり、あまりできていない層の割合は、他国はすべて10%以上でしたが、日本は読解力で5%以内、数学的思考力で8%以内になっていました。上下の幅が小さいのが日本の特徴ですね。

それでは次に、15歳の学力結果についてです。OECDが2012年に65カ国・地域の15歳、約51万人を対象に実施した学習到達度調査(PISA ピザ)の結果を見てみましょう。

日本の平均点は、「読解力」「数学的リテラシー(数学的応用力)」「科学的リテラシー(科学的応用力)」の全3分野で、2000年から現在と同じ調査方法になって以来、過去最高でした。国・地域別順位も2回続けて上昇し、学力の向上傾向がくっきり表れましたね。脱ゆとり教育が実を結びつつあるようです。よい傾向ですね。

具体的には、日本は数学的応用力7位(前回9位)、読解力4位(前回8位)、科学的応用力4位(前回5位)と順位を上げて、「ゆとり教育」から脱却し、学力の復活が明らかになっています。

2000年代の前半は、フィンランドが1位・2位を独占して、フィンランド教育がもてはやされていましたね。ところが今回は、フィンランドは数学的応用力12位、読解力6位、科学的応用力5位とランキングを大幅に下げています。スウェーデンはもっと大幅に低下力して、たとえば読解力(8位→10位→19位→36位)と深刻な事態です。(この件については2月に放送予定です)

しかも、今回は上位がほぼアジアの国々に独占されているんです。数学的応用力では、1位上海、2位シンガポール、3位香港、4位台湾、5位韓国、6位マカオ、7位日本とすべてアジアの国でしょう。

次に、読解力では、1位上海、2位香港、3位シンガポール、4位日本、5位韓国、6位フィンランド、7位アイルランドと、これも5位までアジア独占です。

さらに、科学的応用力では、1位上海、2位香港、3位シンガポール、4位日本、5位フィンランド、6位エストニア、7位韓国と、やはりアジア勢が強いですね。

ところで、何か気付きませんでしたか。

そう。1位が全て上海ですし、1位から3位が、上海、シンガポール、香港に独占されています。

上海は2009年から参加しだしたのですが、前回も全て1位、今回も全て1位です。アメリカのタイム誌の電子版には、「中国はズルをしている」と題した記事が掲載されましたね。

中国は「上海」「香港」「マカオ」と都市単位での調査だと批判して、「上海は中国の他地域に比べて教育水準が大幅に高い。また富裕層が多いため塾などに多額の資金を投入できる。塾などにかかる金は他の地域の一般的な労働者の1年分の収入以上だ」と指摘したそうです。

それに対して、OECDの担当者は「上海の結果が中国全体を表すとは考えてない。調査対象となる生徒たちの学校の教育の質の差はすでに評価の考慮に入れている」と説明しています。この上位3つ地域はOECDの加盟国ではありません。(次回からは中国は国として参加予定)

したがって、OECDの加盟国だけで見たら、日本は数学的応用力2位、読解力1位、科学的応用力1位となります。ですから、大人も子供も日本はOECD加盟国の中でトップレベルなんです。日本の教育もがんばっているようで、うれしいですね。

ゆとり教育からの脱却が順調に進んでいるように思えます。しかし、そのように学力向上が見られる日本ですが、大阪にはもっと頑張ってもらいたいですよ。

2013年の文部科学省が発表した小中学生の全国学力テストランキングでは、大阪は47都道府県中45位と最下位のあたりを低迷しています。せめて全国平均ぐらいになってほしいですよね。がんばれ!大阪!です。

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今夜は昨年発表されたOECDの学力調査のお話をしました。OECDの加盟国の中では、日本の学力は大人も子供もトップレベルです。日本の基礎基本を重視する教育の上に、考える力を育てる力をつける脱ゆとり路線はどうやら軌道に乗り始めたようですね。

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今週の11日(土)午後5:30〜30分の特別番組「中村俊一の教育BOX、新春スペシャル第1回」が放送されます。ラジオ大阪さんは、毎年特別枠を取ってくださいます。感謝いたします。

ゲストは、京都大学副学長・京都大学医学部附属病院長の三島理晃先生にお越しいただき、医師としての生き方など、さまざまなお話をうかがいます。お楽しみに!

2月1日(土)第2回・15日(土)第3回の放送を予定しています。ぜひ、お聴きください。



2014/1/4
「念を入れる」(「中村俊一の教育BOX」放送内容」
あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願い申し上げます。

2013年12月31日(火)「中村俊一の教育BOX」の放送内容です。大晦日の放送でした。いったい何人の方が聞いてくれていたんだろう?

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大みそかの今夜は、「念を入れる」という言葉についてのお話をして、今年を締めくくりたいと思います。今の心と書いて、念ですね。念という文字の入ったことわざはいろいろありますね。

たとえば「一念岩をも通す」という言葉がありますね。ものごとをするときに、岩のように堅くて大きな障害があったとしても、強い思いで必死になって取り組めばその壁を乗り越えて、必ず成就させることができるということです。

他にも、詩人の坂村真民(さかむらしんみん)さんの詩の中には有名な「念ずれば花ひらく」という詩もあります。

「念ずれば 花ひらく 苦しいとき 母がいつも口にしていた このことばを わたしもいつのころからか となえるようになった そうしてそのたび わたしの花がふしぎと ひとつひとつ ひらいていった」

短いですが、いい詩でしょう。苦しいときでも、強い思いで必死になって努力すれば、必ず花を咲かせることができるという詩です。お母さんが、必死になって、子どもを育てる姿が目に浮かびます。お母さんの影響で、坂村真民さんも「念ずれば花ひらく」ととなえるようになって、苦しいときを乗り越えられたのでしょうね。念とは、まさに今、強い思いを持っている心の状態のことを表すようです。

次に、今日のテーマの「念を入れる」というお話をします。もうおわかりでしょう。念を入れるということは、今、目の前の取り組むことに心を込めていくということですよね。

そのことについて、小林正観(こばやしせいかん)さんの『喜ばれる』(講談社)という著書の中のエピソードをご紹介します。

ある一級建築士の方がいました。その方は、今の仕事が終わったら、次の仕事の依頼が来るだろうかと心配ばかりして仕事をしていたんです。今の仕事をしている最中に、次の仕事をもらうことばかりをあれこれ考えて、仕事に取り組んでいたそうなんです。そしたら、結局のところ、その仕事が済んだあと、次の仕事の依頼は来なかったということです。

将来のことばかり考えて、今の仕事がおろそかになってしまったんでしょう。ところが、この方はあるときに「念を入れる」という話を聞いて、ああそうかと気づいたそうです。自分がやるべきことは、今いただいている仕事を、本当に心を込めて、未来のことを心配する必要はなくて、やることなのだな。

そう思った彼は一念発起して、次の仕事はないけれど、頼まれた仕事に心を込めてするようになりました。そうすると、仕事が終わった途端に、次の仕事が来るようになったそうです。

面白いお話です。人間だけが未来や将来のことを考えることができます。しかしどちらかと言うと、人間は将来どうなるのだろうと不安や心配に思う傾向にありますね。

未来や将来のことばかりにとらわれて、ほんとうにするべき、今、目の前にある仕事をないがしろにしてしまうこともあります。そうなると、目の前の仕事が中途半端な具合に終わり、その結果、次の仕事につながる信頼が生まれないということなのです。

将来の仕事のことばかり考えて、目の前の仕事をおろそかにすると、将来の仕事がやってこない。しかし逆に、将来のことを考えずに、目の前の仕事に念を入れていくと、次の仕事がやってくる。

未来がどうなるのかは分かりようがありません。今ここにある目の前のことがらに心を込める以外に、本当にできることはないのかもしれません。目の前の仕事や勉強、あるいは人のために心を込めて一生懸命に取り組んでいく、それが未来や将来の種となってつながっていくのですね。

たとえば、受験生のみなさんも、こんな勉強をしてどうなるのだろうとか、もし試験に失敗したらどうなるだろうとか、不安や心配になるかもしれませんが、そのようなことをいくら考えてもどうにもならないのです。

今、目の前の勉強に念を入れる。それがみなさんの未来につながっていくのだと考えて、しっかりがんばりましょうよ。そして、「念ずれば花ひらく」です。念を入れて目の前のことに心を込めていく、そのように念じていけば、やがて花ひらくといことです。

明日は元旦です。一年の計は元旦にあり。一念発起して、新しい年をお迎えください。よいお年を。

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たとえば、同じ場所に何人もの人がるとして、その場所から見える風景はみなばらばらです。ある人には絶好調の世界でしょうが、ある人には苦痛に満ちた世界かもしれません。

各個人の心に映しだされた世界は、個々ばらばらです。どれ一つをとっても同じではありません。心の在り方を変えるだけで、個々の世界は変化します。そう考えると最も大切なことは、自分の心の在り方をどのように持てばいいのかではないかと思うのですね。